Classici giapponesi con furigana
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てじな
手品
佐左木 俊郎
Leggi 手品 (てじな) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3934 caratteri · 8 schermate
万はそう言って座敷の真ん中へ出て行った。
「手品?」
「それは面白い。」
座敷は急に騒めき立った。
「なんでもいいでがすが、縁起のいいように、こっちの家の宝物同様の銀の杯でやることにしますべえ。」
万はそう言いながら周囲に手を伸ばして、膳の前に散らかっている三つの銀の杯を拾い取った。
「さあさ! こっちを御覧下せえ。ここに三つの杯があります。私しゃ、今これを襤褸着物の懐中へ入れます。」
万はそう言って次から次へと杯を懐中へ入れた。
「そこで、私が号令をかけますと、私の懐中の中の杯は、私の命令したところへ参るのでごぜえます。一! 二! 三!」
万はそう言って手を振った。
「さて、あの杯は、その向こうにおいでになる福禄寿のところへ、参っているはずであります。福禄寿の懐中を改めて下せえ。」
万はそう言ってお辞儀をした。
一座の興趣は、仮装の福禄寿に集まって行った。福禄寿は早速、その周囲の二、三人の手で帯を解かれた。同時に三つの杯が転がり出た。万は急霰のような拍手に包まれた。
――昭和八年(一九三三年)『大阪朝日新聞』一月二十二日号――