Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おしかけにょうぼう

押しかけ女房

伊藤 永之介

Leggi 押しかけ女房 (おしかけにょうぼう) di 伊藤 永之介 (いとうえいのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.073 caratteri · 22 schermate

Aozora Bunko

そのあとから源太郎が来て、その上もう一俵出すと言つた。源治も負けずに、最後の踏んばりで、更にその上一俵出すと言つた。だが本家はまたその上に出た。源治はビツコ足をひいて五度も六度も一里余の遠路を通いつづけたが、ついにそのせり合いに敗れ去つた。本家は十六才の子供に、住みこみで年に十四俵の米に作業着一切をもつという前代未聞の高賃銀を約束することで、別家の源治を沈黙させてしまつた。

田圃がスツカリ乾いて、馬耕が差し迫つて来ているというのに、若勢の争奪戦に敗れた源治は、乾大根の尻尾みたいにしなびた顔を、さらに青くして寝こんでしまつた。

その枕もとに、隣村の顔見知りの千代助がヒヨツコリやつて来て、ずんぐりとした膝を折つた。

「なんとだ、いい嫁があるが、貰わないか」

そうだ、働き者の嫁をもらえば、春野は切りぬけられる――源治は思わず枕から首を浮かしたが、直ぐまた落した。嫁をもらう当人の佐太郎がいないのだ。

「貰うにしたつて、戦地に行つてるもの、どうにもならないよ」

「行つてるままでいいツていうのだよ」

枕もとに木の根ツこみたいに坐つた千代助は落着き払つてのんびりと話をすすめた。