Classici giapponesi con furigana
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そうわ
挿話
徳田 秋声
Leggi 挿話 (そうわ) di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.544 caratteri · 53 schermate
道太は湯に浸りながら、駅で一人一人救護所へ入っていった当時の避難者の顔や姿まで思いだすことができた。
「今日の容態はどうかしら」道太は座敷へ帰ってから、大きな鮎の塩焼などに箸をつけながら、兄が今ごろどうしているかを気づかった。
「さあ、後ほど電話できいてみましょう」そう言って辰之助はどっちり胡坐を組んで、酒を呑んでいた。
そこへ女が現われた。おひろといって、道太も子供の時から知っている女であった。その家も少年のおり、父につれられて行きつけていた。道太の祖父の代に、古い町家であったその家へ、縁組があった。いつごろそんな商売をやりだしたか知らなかったが、今でも長者のような気持でいるおひろたちの母親は、口の嗜好などのおごったお上品なお婆さんであった。時代の空気の流れないこの町のなかでも、こんな人はまた珍らしかった。小柄なおひろはもう三十ぐらいになっている勘定であった。
「お久しぶりですね」おひろは瘠せた膝をして、ぴったりとそこに坐った。
「相変らず瘠せているね。やっぱり出てるんだね」道太は浅黒いその顔を見ながら話しかけた。
「ええ、効性がないもんですから、いつお出でたんですの」