Classici giapponesi con furigana
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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
Leggi 支倉事件 (はせくらじけん) di 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 204.697 caratteri · 406 schermate
私は入院料を払わなかった事はありません。生憎定次郎に会った時には領収証をなくしていたのです。それも病院へ行って聞けば分る事です」
支倉は一度喋り出すと文字通り懸河の弁で、滔々数十分、言葉巧に当時の状況を説き来り説き去り、最後に、
「左様な事実で、貞を強姦したる事もなく、又殺害したる事実もないのであります」
とつけ加えて、漸く長広舌を終った。
裁判長は引続き証人の訊問に移ろうとしたが、この時被告人及び弁護人より、今日はこの程度で打切り、続行せられたき旨申請し、検事も同意したので、裁判長は合意の上之を許可し、次回を来る六月十三日午前九時と定めた。各証人はこの日は全く無駄足をしたのだった。
六月十三日の公判! これこそ支倉にとって最後の公判となった事は後にぞ思い知られたのだった。
次回の公判には庄司署長が初めて証人として出廷訊問を受ける事になっている。この訊問こそ支倉の万策尽きた今日、残された唯一の頼みの綱で、冤枉八年の叫び空しきか、将又空しからざるか正々この一挙で決するのだ。彼は獄窓裡に或いは喜び、或いは憂え、よもすがら秘策を胸中に練った事であろう。
彼は当日庄司署長と共に出頭すべき神戸牧師に対して、五月二十八日と六月十一日の二回に亘り、例の恐喝の手紙を送った。