Classici giapponesi con furigana
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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
Leggi 支倉事件 (はせくらじけん) di 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 204.697 caratteri · 406 schermate
「お帰り」
お篠は台所から声をかけた。
浅田はどっかと火鉢の前に腰を下すと、
「お篠」
と不機嫌な声で呼んだ。
「なんですか」
お篠は前掛で濡れた手を拭きながら現われた。
「今度来た書生には気をつけろ」
浅田は低い力の籠った声で、お篠の顔をじっと見ながら云った。
「何ですって」
「俺の留守なんかに、ペチャクチャ詰らん事をあいつに話すなと云うんだ」
「な、何ですって」
お篠は顔色を変えた。
「私がいつペチャクチャ詰らん事を話しました」
「話したとは云やしない。話すなと云うんだ」
「人を馬鹿にしている」
お篠は呶鳴り出した。
「手前こそ用もないのに支倉の奥さんの所へ行って、ペチャクチャ喋ってばかりいる癖に」
「おい/\、大きな声を出すな」
「大きな声で云われていけないような事を何故するんだ」
お篠は未だ怒号を止めない。
「そして人の事ばかり云ってやがる。私が何をしたと云うんだ」
「おい/\、勘違いをしちゃいけないぜ」
浅田は困ったような顔をして宥めた。
「俺はたゞ岸本に気をつけろと云ったきりだよ」
「大きにお世話だよ。私が何をしようと」
お篠は顔を脹らした。
浅田は苦笑いをしながら、どうやらお篠を宥めると、夕食をすませて二階に上った。