Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はせくらじけん

支倉事件

甲賀 三郎

Leggi 支倉事件 (はせくらじけん) di 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 204.697 caratteri · 406 schermate

Aozora Bunko

「そうですね」

石子は苦笑を続けながら、

「それもそうですがね、要するに社会の裏面の事を扱っているから誘惑が多いんですよ。悪い事をした方で直に買収にかゝるんでね」

「素人はどうも推測を確実なものゝように誇張するから困るな」

谷田の家を出ると、石子刑事は思わずこう呟いた。

彼の云った事も充分参考になるにはなったが、別に目撃した訳じゃなし、有力な証拠があるではなし、支倉に対する嫌疑は濃厚になるけれども、要するにそれだけである。

「本人は巧に踪跡を晦まして、今だに絶えず嘲弄状を送って来る。そして本人には窃盗、詐欺、放火殺人などの嫌疑がかゝっているが確実な証拠はすこしも挙がらない。こんな奇妙な事件は始めてだ」

本所界隈を一日歩き廻って無駄足を踏んだ失敗を、計らずも神田で酔払いの定次郎の引合せで谷田に会い、その埋合せが出来るかと思ったのが、そうも行かなかったので、路々こんな事を考えながら石子は元気なく家に帰った。

家には思いがけなく岸本が悄気切って控えていた。

妻のきみ子は笑いながら、

「岸本さんはお払箱になったんですって」

「どうして?」

石子は意外だった。

「すっかり失敗って了ったんです、素人探偵は駄目ですよ」