Classici giapponesi con furigana
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ほうろうのやど
放浪の宿
里村 欣三
Leggi 放浪の宿 (ほうろうのやど) di 里村 欣三 (さとむらきんぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.066 caratteri · 28 schermate
それに暇さえあると、誰れの話にも割り込もうとはせずに、無口な面構えで寝転んでばかりいた。
其彼に、こんな気狂じみた情熱があろうとは! 若者は夢にも知らなかったのだ。
黒眼鏡が酔いつぶれる時に、きまってあげる『オダ』に依れば、彼はどうにもしようのないやくざ者で、人の女房と姦通して、おまけに亭主の頭の鉢を金テコで打破って、無期徒刑を喰ったのだが、御大典のおかげで、二度と出られる筈のなかったこの社会に舞い戻って来たという札つきの『金スジ』だった。それにまだ懲りずに、彼奴はそのやくざを自慢の種にして、この人生を金テコでぶちのめすような滅茶な調子で、押しまくって生きようとするのだ!
その日は暑かった。太陽がカッと照らしつけている表へ、女の毛を投げ出せば『じじッ』と燃え上ってしまいはしないかと思われるほどだった。
若者は何処をほうついても仕事がなかった。それで彼は飢え死する覚悟を決めたような悲痛さで、癇癪腹をかかえて宿泊所に舞い戻ってはね転がった。すると、時計の直しが見つからないで剛腹をかかえ込んだ、糜れた脂っぽい眼付の男も、同じように樫の木のように固たそうな脛を投げ出して寝転んでいた。