Classici giapponesi con furigana
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せいだんじゅうにそう
政談十二社
泉 鏡花
Leggi 政談十二社 (せいだんじゅうにそう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.626 caratteri · 48 schermate
――されば婆さんは今その事について何にも言わなかったが、実はこの媼、お米に椅子を払って招じられると、帯の間からぬいと青切符をわざとらしく抜出して手に持ちながら、勿体ない私風情がといいいい貴夫人の一行をじろりとし、躙り寄って、お米が背後に立った前の処、すなわち旧の椅子に直って、そして手を合せて小間使を拝んだので、一行が白け渡ったのまで見て知っている位であるから、この間のこの茶店における会合は、娘と婆さんとには不意に顔の合っただけであるけれども、判事に取っては蓋し不思議のめぐりあいであった。
かく停車場にお幾が演じた喜劇を知っている判事には、婆さんの昔の栄華も、俳優を茶屋の二階へ呼びなどしたことのある様子も、この寂寞の境に堪え得て一人で秋冬を送るのも、全体を通じて思い合さるる事ばかりであるが、可し、それもこれも判事がお米に対する心の秘密とともに胸に秘めて何事も謂わず、ただ憂慮わしいのは女の身の上、聞きたいのは婆が金貨を頂かせられて、――
「それから、お前がその金子を見せてもらうと、」
促して尋ねると、意外千万、
「そのお金が五百円、その晩お手箪笥の抽斗から出してお使いなさろうとするとすっかり紛失をしていたのでございます、」