Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こきょう

故郷

太宰 治

Leggi 故郷 (こきょう) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.843 caratteri · 22 schermate

Aozora Bunko

忠兵衛が、やたらにプンプン怒っていた。稲田の向うに赤い屋根がチラと見えた。

「あれが、」僕の家、と言いかけて、こだわって、「兄さんの家だ。」と言った。

けれどもそれはお寺の屋根だった。私の生家の屋根は、その右方に在った。

「いや、ちがった。右の方の、ちょっと大きいやつだ。」滅茶々々である。

金木駅に着いた。小さい姪と、若い綺麗な娘さんとが迎えに来ていた。

「あの娘さんは、誰?」と妻は小声で私にたずねた。

「女中だろう? 挨拶なんか要らない。」去年の夏にも、私はこの娘さんと同じ年恰好の上品な女中を兄の長女かと思い、平伏するほどていねいにお辞儀をしてちょっと具合いの悪い思いをした事があるので、こんどは用心してそう言ったのである。

小さい姪というのは兄の次女で、これは去年の夏に逢って知っていた。八歳である。

「シゲちゃん。」と私が呼ぶと、シゲちゃんは、こだわり無く笑った。私は少し助かったような気がした。この子だけは、私の過去を知るまい。

家へはいった。中畑さんと北さんは、すぐに二階の兄の部屋へ行ってしまった。私は妻子と共に仏間へ行って、仏さまを拝んで、それから内輪の客だけが集る「常居」