Classici giapponesi con furigana
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しゃこう
斜坑
夢野 久作
Leggi 斜坑 (しゃこう) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.977 caratteri · 39 schermate
それとも町へ出てウドン屋でも始めようじゃないか」
とその時にお作が云ったのに対して、シンカラ首肯いて見た事を、福太郎は今一度ハッキリと思い出させられた。そうして今日限り二度とコンナ危険な処へは這入れない……といったような突詰めた気持に囚われながらオズオズと前後左右を見まわしたのであった。
「書写部屋(事務所)ぞオオ……イイイヨオオ……イイヨ……オオイイイ……」
という呼び声がツイ鼻の先の声のように……と……又も遠い遠い冥途からの声のように、福太郎の耳朶に這い寄って来た。
その声に追い立てられるように福太郎は腰を屈めながら、斜坑の底の三十度近くの急斜面を十四五間ほどスタスタと登って行った。そうして斜坑が少しばかり右に曲線を描いて、真西に向っている処まで来てチョット腰を伸ばしかけた。
……その時であった。
福太郎はツイ鼻の先の漆のような空間に真紅の火花がタラタラと流れるのを見た。それを見た一瞬間に福太郎は、
「彼岸の中日になると真赤な夕日が斜坑の真正面に沈むぞい。南無南無南無……」
と云って聞かせた老坑夫の顔を思い出したようにも思ったが、間もなく轟然たる大音響が前後左右に起って、息苦しい土煙に全身が包まれたように思うと、そのまま気が遠くなった。