Classici giapponesi con furigana
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しゃこう
斜坑
夢野 久作
Leggi 斜坑 (しゃこう) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.977 caratteri · 39 schermate
と云ううちに、そこに落ちていた誰かの手拭を拾って姉さん冠りにした。それから手早く前褄を取って、問題の赤ゆもじを高々とマクリ出したので、皆一斉に鯨波を上げて喝采した。
「……道行き道行き……」
と叫んだ者が二三人あったが、その連中を睨みまわしながらお作は、白い腕を伸ばしてラムプの芯を煤の出るほど大きくした。
「源次さん。仕繰りの源次さん……アラ……源次さんはどこい行きなさったとかいな」
その声が終るか終らないかにモウ一度、割れむばかりの喝采が納屋を揺がしたが、今度は忽ち打切ったようにピッタリと静まり返った。
皆はこの時お作が、饂飩屋時代に得意にしていた道行踊りを踊ろうとしている事を、アラカタ察しているにはいた。併し真逆に問題の黒星になっている源次を相手にして踊ろうとは思わなかったのであった。皮肉といおうか大胆といおうか。一度は思わず喝采をしたものの、流石の荒くれ男共もこうしたお作のズバリとした思付きに、スッカリ荒胆を奪られてしまって、その次の瞬間には、水を打ったようにシンとして終ったのであった。今にも血の雨が降りそうなハッとした予感に打たれて……。
しかしお作は平気の平左であった。