Classici giapponesi con furigana
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しゃよう
斜陽
Leggi 斜陽 (しゃよう) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.822 caratteri · 176 schermate
「ごめんね。読まなかったの」
ニコライ堂の見える橋の上だった。
「なぜ? どうして?」
そのお友達は、私よりさらに一寸くらい背が高くて、語学がとてもよく出来て、赤いベレー帽がよく似合って、お顔もジョコンダみたいだという評判の、美しいひとだった。
「表紙の色が、いやだったの」
「へんなひと。そうじゃないんでしょう? 本当は、私をこわくなったのでしょう?」
「こわかないわ。私、表紙の色が、たまらなかったの」
「そう」
と淋しそうに言い、それから、私を更級日記だと言い、そうして、何を言っても仕方がない、ときめてしまった。
私たちは、しばらく黙って、冬の川を見下していた。
「ご無事で。もし、これが永遠の別れなら、永遠に、ご無事で。バイロン」
と言い、それから、そのバイロンの詩句を原文で口早に誦して、私のからだを軽く抱いた。
私は恥ずかしく、
「ごめんなさいね」
と小声でわびて、お茶の水駅のほうに歩いて、振り向いてみると、そのお友達は、やはり橋の上に立ったまま、動かないで、じっと私を見つめていた。
それっきり、そのお友達と逢わない。同じ外人教師の家へかよっていたのだけれども、学校がちがっていたのである。