Classici giapponesi con furigana
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きられたさに
斬られたさに
夢野 久作
Leggi 斬られたさに (きられたさに) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.352 caratteri · 41 schermate
小田原の松原からこのかた、あ……貴方様の事ばっかり……思い詰めまして……」
「……エエッ……」
「……お……お慕い申して参りました。討たれぬ……討っては成りませぬ仇とは存じながら……ここまで参いりました。せめて貴方様の……お手にかかりたさに……一と思いの……御成敗が受けたさに……受けとうて……」
と云ううちにキッと唇を噛んだ若侍の姿がスルスルと後へ下がった。……それは云い知れぬ思いに燃え立つ妖火のような頬の輝やき、眼の光り……と見るうちに懐中の匕首、抜く手も見せず、平馬の喉元へ突きかかった。
「……アッ。心得違い……めさるなッ」
危うく右へ飛び退いた平馬は、まだ居住居を崩さずに両手を膝に置いていた。
「……乱心……乱心召されたかッ……讐仇は讐仇……身共は身共……」
と助けてやりたい一心で大喝した。
一方に空を突いた若侍姿はモウ前髪を振り乱していた。とても敵わぬと観念したらしく、平馬の大喝の下に息を切らしながら眼を閉じたが、又も思い切って見開くと、火のような瞳を閃めかした。
「……ヒ……卑怯者ッ。その讐仇を討つのに……邪魔に……邪魔になるのは貴方一人……」
「……エエッ……さてはおのれ……」