Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 197.228 caratteri · 394 schermate
――この重囲を脱し、岡崎へ使いしたほどな忠義者を、ふたたび城へ帰すとは。――まるで見殺しにするような」
「いえ……」
と、強右衛門はあわててそれを打ち消した。
「決して、殿の無慈悲ではございませぬ。てまえから望んで帰城を図ったのでございます」
「ふうむ……面魂の強そうなことをいう。して、生命がけで帰ったら、どれ程な効があると存じてか」
「てまえ一名の力は、一挺の鉄砲、一すじの槍にも足りませんが、織田どのの援軍も、岡崎の後詰も、すでにこれへ近く参ると告げれば、城中の士気はいちどに奮い立ちます。最後の一瞬まで頑張りましょう。そのためには、てまえが帰らなければ、真にお使いの役を果したとはいわれません」
「……如何にもな!」
勝頼は眼をとじた。いまの声は呻きに似ていた。そしてその眼をかッとひらくと、
「ああ、忠義なものだ。感じ入った。――それにしても、これほどなさむらいを、陪臣の端くれに埋もれさせておく惜しさよ。……どうじゃ強右衛門、儂に仕えぬか。この勝頼の旗下として、もっと大きく、一方の武将となって働かんか。……どうだ。いやか」
半ば、疑うように、彼は勝頼の顔を、ややしばし、見まもっていた。