Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 197.228 caratteri · 394 schermate

Aozora Bunko

「ここは、一時」

「恨みをのんで、前途の御分別を」

遮二無二、本陣の将士を督して勝頼の身を、重囲から救い出した。――これを敵方から見れば、明らかに、甲州の中軍は、算をみだして、潰走し出したものといえよう。

大将勝頼を、猿橋の附近まで送って来ると、内藤修理は、殿軍のため、すぐ引っ返して、追い来る敵と戦った。彼が壮烈な戦死をとげた場所は、出沢の丘の上だった。

馬場信房も、落ちてゆく勝頼や、あわれな味方の残軍を宮脇の辺りで目送していたが、やがて、

「ああ。平常一生涯。憶えば長かった。また短かった。長いが真か、短いが真か。ただ、いま一瞬だけは、たしかに、永遠だろう。死の一瞬。永遠な生命とは、その一瞬の如何にしかない」

馬首を西へめぐらしながら、この老将は、悠々、万感を胸にくり返していた。

そして、敵の中へ駈け入る直前まで、

「故信玄公にあの世でお目にかかってお詫びをせん。やはりわれわれ輔佐の宿将どもの不つつかであった……。さらばぞ、甲州の山河」

振向いて、故国の空に、一涙を遠く捧げ、そしてやにわに駒を早め出すなり、

「死ねや。せめて、名を夏草の華ともして、信玄公このかたの、武門の名を辱めるな」