Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 197.228 caratteri · 394 schermate
しかし名匠の作は、流玩転賞が原則である。可惜、兵火の犠牲になすべきではあるまい。いさぎよく、信長公へお譲りあるこそ、武門のゆかしさと申すものではあるまいか」
と、譲渡の交渉をしていたものであった。
久秀は六十八歳にもなっていたが、むかしから貨殖の才に長け、老いても物質に、執着のつよい人だった。利害の打算にかけて利なりとすれば、過去の履歴が示しているとおり、将軍を殺め、主人の子をも害し、また主家の三好を滅ぼしたり、その夫人を奪ったり、大仏殿を焼いたりなど――これはできないという良心の躊躇すらない漢である。だから、彼の領下の民さえ、
(強悪様のしわん坊)
と、つねに陰口にささやいている程だった。
その彼が、なんで素直に、平蜘蛛の釜を、敵方へ譲ろう。
釜どころか、今は、彼がその強悪と大慾をもって、生涯につくり溜めた「物」の全部も――また最後のいのちをすら失いかけているのであるが、頑然と、
「嫌だ。渡さぬ」
と、断った。
その断り方も彼らしい。
「さきに、信長に、つくもがみの茶入れをねだられて、茶入れは取られたが、久秀の首と、平蜘蛛の釜だけは、信長の眼にも供えぬ」