Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 176.911 caratteri · 353 schermate
「やあ、これは」
と、ふいを打たれたていで、尼の姿へふり向いた。
「まあ、おひとが悪い。友松様ではありませんか」
松琴尼がいうと、内から於通も云って誇った。
「それごらんなさい。いたでしょう、よそのお人が」
親しい間とみえ、友松は、尼の招き入るるまま、内へ通って、
「いや、ごめんなさい。失礼しました。何もべつに、源氏の君みたいに、女御たちの密かな世界を隙間見たりなどしたわけではありませんが、お門べの静けさ、お留守か、否かとおもいまどい、つい庭へはいりました。すると久しぶり、空蝉のくだりを美しいお声で読まれるのを伺い、聞いているうちに、うっとりとして」
坐るなり、まず云い訳から頻りにし出した。
於通は、あわてて小机や源氏の帖を、部屋のすみへ片寄せてしまった。そしてわざと、ぷんと、少し怒った顔つきをこの客へして見せた。
彼女の気性のわかっている尼には、おかしくてならないように、くすくす笑いこぼれながら、
「いえ、お気にかけて下さいますな。この娘はすこし変っているほうなんですから」
すると於通は、いよいよ、ぷんと、怒り澄まして、
「ようございますよ禅尼さま。わたくしはどうせ、変り者ですから」