Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 176.911 caratteri · 353 schermate

Aozora Bunko

(北畠どのの寛大な思し召によって、特に……)

という之助のことばである。

北畠信雄は、事態の急に、こうでもしたら池田父子が、情に感じて、よもや寝返って秀吉方へ走ることはしまい――と、恩をきせて、敢えて、之助を国へ返してよこしたのである。

しかし、こういう甘手は、余人には効くかもしれぬが、世情の表裏から、戦争のかけひきまで、あらゆる人間の機微を、舐めつくしている池田入道勝入には、ちと子どもッぽい好意の押売り――見えすいた現金主義としかうけとれなかった。

人間としても信雄が、本来どんな愛情の持ち主か、真実に富む性か、勝入は、信雄がまだむつきにくるまれてピイピイ夜泣きしていた頃から、知りつくしているのである。

(肚は、きまった。日ごろ信仰する妙見の夢告によれば、西に味方して大吉なりとある)

家臣へはそんなふうに決意を云い渡した。さらに、その日のうちに西軍の秀吉へむかって“一味承諾”の返書を送った。

もとより妙見の夢告はうそであるが、勝入が肚をきめた直後に、嫡子の紀伊守が何気なく父に語ったことばの端には、百戦の巧者たる彼をして、

(耳よりなこと。それこそ天の与えるものだ)