Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 176.911 caratteri · 353 schermate

Aozora Bunko

「え。信長公のお城へ仕えていたことがあるのか」

「つい先頃までは、松琴尼の許で、勉強しておりました。乳母は、わたくしを、どうしても尼にしようとするのです。……けれど私は、尼僧になるのはいやです。都へ出て、もっと勉強もし、生きがいのある一生をおくりたいのです。……お沢ののら息子などと、駈け落ちする気ではありません」

気品があり、ことばは爽やかである。偵察隊の雑兵たちは、質問しているまに、何か、この少女のおちつきに、気押されるようなものを感じて来た。――しかし、たれもなお、疑いは解かなかった。

兵たちは、仲間のあいだで、

(どうしよう?)

と、いう相談になったらしい。

かれらは、何か、ヒソヒソいいあっていたが、いまや大戦の火ぶたを目前にはらむ日ではあるものの、この端麗な、しかも、もと安土城にもいたという曰くつきの美少女を、不問に捨て去るのは、何やら惜しい気がしてならない。

「ともあれ、陣所まで曳いてゆこう。――万が一、敵の密偵でもあったら、悔いてもおよばぬ」

話がきまると、於通は、ただちに引ったてられた。

そこからすこし上流の方へゆくと、この物見隊が乗って来たらしい筏があった。