Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 187.757 caratteri · 375 schermate
「遅いのう、隼人佑は」
どこの陣屋で飼っているのか、鶏の声がし出すと、藤八郎も半右衛門も、とかく過敏な眼いろだった。が、さすがに将監は、何気ない亭主ぶりを振舞いながら、
「いや、程なく見えられよう」
と、落着き払っていた。
待つ人の姿は見えず、やがて大崎宇右衛門が、隼人佑の手紙を齎して来た。断り手紙である。――三名は顔を見あわせた。
「使いの宇右衛門は」
と、小者にたずねると、手紙を置くやいな、すぐ帰ってしまったという。
「はて。感づいたかな?」
三名の顔は、同じものだった。不安に塗り潰されたのである。いかに勇猛な者どもも、こうした後めたい破綻に立つと日頃の顔色もない。
「どうして漏れたろう。これほど密々に運んだことが」
呟きも、愚痴に似ている。すでに大事が露顕した上は、朝茶どころではない。いかにしてここを脱出するかだ。一刻をも争わねば――と、もう焦躁座に耐えない姿が大金と木下の二人に見えた。
「ぜひもない。……この上は」
という呻きが、将監の唇から出たとき、二人はもう一度、胸を衝かれた。が、将監は、その太い眉をもって、うろたえ召さるな、と叱るように二人を睨んだ。