Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 187.757 caratteri · 375 schermate
何がだよ、おい」
べつの声がそれにいう。
「来てみろ」
と、少し離れた所から呼んでいる。それに応じて、ガサゴソと灌木を踏む音をさせ、哨兵たちは山鼻に影をかさねていた。
東南方を指して、
「妙に、彼方の空が、明るいような気がするが?」
ひとりは云ったが、誰の目にも遽かに認め得るほどな異変でもない。
「何処がじゃ」
「いや、そんな方角じゃない。――ほれ。あの大きな檜の右手から、ずっと南の方へかけて」
「なにかと思えば――」
と、みな笑った。
「あれは大津か黒田村のあたりで、百姓が何か焚いておるのじゃろ」
「郷に百姓はいないはず、みな山へ逃げこんでおる」
「では、木之本に屯している敵の篝でもあろうよ」
「何の、雲の低い晩なら知らず、この冴えた夜に、あのように空を染めているのはおかしい。……オ、ここは眼をさえぎる樹が多いが、あの屏風岩のてッぺんに登ればよく見えよう」
「――止せ。あぶない」
「踏み外したら谷間だぞ」
止めたが、ひとりはもう攀じ登っていた。蔦かずらに取ッついて。
登りつめた一ツの人影が、猿のように岩山の頂に見えた。――と思うと、その兵の口から出た叫びだった。
「あっ。