Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 187.757 caratteri · 375 schermate
「……殿」
と、袂を引くように囁いた。
眼だけで、何か? ――と長頼の顔を見た。
長頼は、さらに、主の耳へ頤を近づけて、
「折も折。……これへ北ノ庄どののお立寄りあるは、またなき倖せ、討ち止めて、その首級を、筑前どのへお送りあらば、御当家と羽柴家とのお仲も、難なく御和解を見られましょうに」
と、賢げに、献策した。
すると利家は、やにわに、又兵衛長頼の胸いたを、どんと押し叩いて、
「だまりおろうっ」
と、怖ろしい声で叱った。
長頼は、よろよろと、後ろの板壁まで行って、からくも尻餅をまぬがれた。真っ蒼な顔をして、立ち直すことも、下に坐すことも忘れていた。
それを睨めすえながら、利家はなお余憤のさめぬような語気で云った。
「非義、卑劣、口にするも恥ずべき邪謀を、主の耳にささやくなど、沙汰の限りな奴! 士にして士道を知らざる奴めが! ……誰か、門を叩く窮将の首を売って、自家の経営に利せんとする者ぞ。まして、如何あろうと、勝家と利家とは、多年同陣の人。たわけをいうも、事にこそよれ。――慎めっ」
顫く影をあとにおいて、利家は、そのまま勝家を迎えるため、玄関へ出て行った。