Classici giapponesi con furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Leggi 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 247.330 caratteri · 497 schermate
「ありがとう。」
「姉さんさよなら……」
みんないい人達である。
私が根津の権現様の広場へ帰った時には、大学生は例の通り、あの大きな蝙蝠傘の下で、気味の悪い雲を見上げていた。そして、その傘の片隅には、シャツを着たお父さんがしょんぼり煙草をふかして私を待っていたのだ。
「入れ違いじゃったそうなのう……」と父が云った。もう二人とも涙がこぼれて仕方がなかった。
「いつ来たの? 御飯たべた? お母さんはどうしています?」
矢つぎ早やの私の言葉に、父は、昨夜朝鮮人と間違えられながらやっと本郷まで来たら、私と入れ違いだった事や、疲れて帰れないので、学生と話しながら夜を明かした事など物語った。私はお父さんに、二升の米と、半分になった朝日と、うどんの袋をもたせると、汗ばんでしっとりとしている十円札を一枚出して父にわたした。
「もらってええかの?……」
お父さんは子供のようにわくわくしている。
「お前も一しょに帰らんかい。」
「番地さえ聞いておけば大丈夫ですよ、二三日内には又行きますから……」
道を、叫びながら、人を探している人の声を聞いていると、私もお父さんも切なかった。
「産婆さんはお出でになりませんかッ……どなたか産婆さん御存知ではありませんか!」