Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

Leggi 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 247.330 caratteri · 497 schermate

Aozora Bunko

私の顔が二重に写っている鏡の底に、私を睨んでいる男の大きい眼、私は旅から生きてかえった事がうれしくなっている。こんな甘いものだらけの世の中に、自分だけが真実らしく死んで見せる事は愚かな至りに御座候だ。継続だんごか! 芝居じみた眼をして、心あり気に睨んでいる男の顔の前で、私はおばけの真似でもしてみせてやりたいと思う。……どんな真実そうな顔をしていたって、酒場の男の感傷は生ビールよりはかないのですからね、私がたくさん酒を呑んだって帳場では喜んでいる、蛆虫メ!

「酔っぱらったからお先に寝さしてもらいます。」

芙美子は強し。

(十月×日)

秋風が吹く頃になりました。わたしはアイーダーを唄っています。

「ね! ゆみちゃん、私は、どうも赤ん坊が出来たらしいのよ、厭になっちまうわ……」

沈黙って本を読んでいる私へ、光ちゃんが小さい声でこんな事を云った。誰もいないサロンの壁に、薔薇の黄いろい花がよくにおっていた。

「幾月ぐらいなの?」

「さあ、三月ぐらいだとおもうけど……」

「どうしたのよ……」

「いま私んとこ子供なんか出来ると困るのよ……」

二人はだまってしまった。おでんを食べに行った女達がぞろぞろかえって来る。