Classici giapponesi con furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Leggi 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 247.330 caratteri · 497 schermate
詩人になりたいと云ったら、何とか筋道をつけてくれるかもしれない。
私はもう七十銭しか持っていないのだ。
蒼馬を見たりと云う題をつけて、詩の原稿を持ってゆく。古ぼけた浪人のいるような家だ。電燈が馬鹿にくらい。どんなおばけが出て来るかと思った。
部屋の隅っこに小さくなっていると、生田氏がすっと奥から出て来た。何の変哲もない大島の光った着物を着ている、痩せた人だった。顔の皮膚がばかにてらてら光っている。
声の小さい、優しいひとであった。
何も云わないで、原稿を見ていただきたいと云ったら、いま、すぐには見られないと云う。
私は七十銭しか持っていないので、躯中がかあと熱くなる。
「どんなひとの詩を読みましたか?」
「はい、ハイネを読みました。ホイットマンも読みました」
高級な詩を読むと云う事を、云っておかないと悪いような気がした。だけど、本当はハイネもホイットマンも私のこころからは千万里も遠いひとだ。
「プウシュキンは好きです」
私はいそいで本当の事を云った。
あなたも御病気で悲惨のきわみだけれど、私も貧乏で、悲惨のきわみなのです。四百四病の病より、貧よりつらいものはないと、うちのおっかさんが口癖に云います。