Classici giapponesi con furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Leggi 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 247.330 caratteri · 497 schermate
羨ましい話だ。食堂を出て、また牛込まで歩く。郵便局のところで、野村さんは、とてもひげの濃いずんぐりした男のひとと丁寧なあいさつをした。佐々木俊郎と云うひとで、新潮社にいるひとだそうだ。ああそれで、あんなに丁寧なあいさつをしなければならなかったのかと思う。
私は心のうちでごおんと鐘の鳴るような淋しい気持ちになった。ものを書くと云うことはみじめなものだと思った。一年に一度位六円の稿料を貰っては第一食べてはゆけないではないのと云うと、あのひとは、むっとしたそぶりで、風のなかへぺっぺっとつばきを吐いた。
アパートの前でさよならと云うと、あのひとは私なぞみむきもしないでさっさと二階へ上って行った。私はどうしたらいいのか途方にくれる。朝ぎりや、二人起きたる台所。多摩川にいた頃の二人の侘しい生活を思い出して、私は下駄をにぎったまま二階へ上って行く。扉を開けると、野村さんは、帽子をかぶったまま本を読んでいる。私は、本当にこの人が好きなのかきらいなのか自分でも判らなくなっている。じいっと坐っているとカフエーに帰りたくて仕方がない。「じゃア、帰ります。またそのうち来ます」