Classici giapponesi con furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Leggi 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 247.330 caratteri · 497 schermate
次の原稿を持って行く時は、私は、そんなものは何も知らない顔で、にこにこと笑って行かなければならない。また二時間も待たされて、笑顔をつづけている事にくたびれてしまう。ああ、厭な仕事だと溜息が出る。神様! これでも悪人をはびこらせておくのですか。
童話が厭になると詩を書く。だけど、詩もてんから売れやしない。見ておきましょうと云って、みんなかすみのように忘れられてしまう。
神様よ。いったい、どうして生きてゆけばいいのか私は判らない。貴方は何処に立っているんですか。
(六月×日)
朝、重い頭をふらふらさせて、本郷森川町の雑誌社へ行く。電車道でナイトキャップの男に会う。笑いたくもないのに丁寧に笑って挨拶をする。その男は社へ行く道々も、詩集のようなものを読みながら歩いている。
玄関の暗い土間のところに、壁に凭れてまた待つ用意をする。小さい女の子が出て来て、厭な眼つきをして私を見ては引っこむ。
「赤い靴」と云う原稿を拡げて、私はいつまでも同じ行を読んでいる。もう、これ以上手を加えるところもないのだけれども、何時までも壁を見て立っているわけにはゆかないのだ。
ああ、やっぱり芝居をしようと思う。