Classici giapponesi con furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Leggi 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 247.330 caratteri · 497 schermate
」
「素敵ね!」
「あら、なぜ?」
「私は別れたくっても、別れてくんないんですもの。」
八重ちゃんは空になったスプーンを嘗めながら、今の男と別れたいわと云っている。どんな男のひとと一緒になってみても同じ事だろうと私が云うと、
「そんな筈ないわ、石鹸だって、十銭のと五十銭のじゃ随分品が違ってよ。」と云うなり。
夜。酒を呑む。酒に溺れる。もらいは二円四十銭、アリガタヤ、カタジケナヤ。
(七月×日)
心が留守になっているとつまずきが多いものだ。激しい雨の中を、私の自動車は八王子街道を走っている。
もっと早く!
もっと早く!
たまに自動車に乗るといい気持ちなり。雨の町に燈火がつきそめている。
「どこへ行く?」
「どこだっていいわ、ガソリンが切れるまで走ってよ。」
運転台の松さんの頭が少し禿げかけている。若禿げかしら。――午後からの公休日を所在なく消していると、自分で車を持っている運転手の松さんが、自動車に乗せてやろうと云ってくれる。田無と云う処まで来ると、赤土へ自動車がこね上ってしまって、雨の降る櫟林の小道に、自動車はピタリと止ってしまった。遠くの、眉程の山裾に、灯がついているきりで、ざんざ降りの雨にまじって、地鳴りのように雷鳴がして稲妻が光りだした。