Classici giapponesi con furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Leggi 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 247.330 caratteri · 497 schermate
淋しい。ほんとにつまらない。住み込みは辛いと思う。その内、通いにするように部屋を探したいと思うけれども何分出る事も出来ない。夜、寝てしまうのがおしくて、暗い部屋の中でじっと眼を開けていると、溝の処だろう虫が鳴いている。
冷たい涙が腑甲斐なく流れて、泣くまいと思ってもせぐりあげる涙をどうする事も出来ない。何とかしなくてはと思いながら、古い蚊帳の中に、樺太の女や、金沢の女達と三人枕を並べているのが、私には何だか小店に曝された茄子のようで侘しかった。
「虫が鳴いてるわよ。」そっと私が隣のお秋さんにつぶやくと、「ほんとにこんな晩は酒でも呑んで寝たいわね。」とお秋さんが云う。
梯子段の下に枕をしていたお俊さんまでが、「へん、あの人でも思い出したかい……」と云った。――皆淋しいお山の閑古鳥だ。うすら寒い秋の風が蚊帳の裾を吹いた。十二時だ。
(十月×日)
少しばかりのお小遣いが貯ったので、久し振りに日本髪に結ってみる。日本髪はいいな。キリリと元結を締めてもらうと眉毛が引きしまって。たっぷりと水を含ませた鬢出しで前髪をかき上げると、ふっさりと前髪は額に垂れて、違った人のように私も美しくなっている。