Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいじびじんでん

新編 近代美人伝 (上)

長谷川 時雨

Leggi 新編 近代美人伝 (上) (めいじびじんでん) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.076 caratteri · 256 schermate

Aozora Bunko

それが彼女のために日に日に新らしい信徒をむかえたのでもあったろう。そうなると勢い綾之助には迷惑な殉教徒が出てきた。彼女に熱心のあまり免職される若い巡査もあれば、母親の留守に自殺しようとまでした小心の書生もあった。その他にも切腹しかけた人があって、その人の母親は忰のために綾之助に懇談を申入れたことさえあった。ある三十男は気が変になって、いつも赤いハンケチを持ち、匂袋をさげて綾之助の後をついて歩いた。その人はいつも五行本の書風に真似、文句も浄るり節の手紙を、半年のうちに百数十通おくった。

綾之助の夫石井健太は、まだ三田に在塾のころ、十二歳からの彼女の姿を知っていた。卒業の後三田聖坂に一戸をかまえて、横浜のある貿易商につとめていた。石井氏が綾之助を愛しんだのは、恋ではなかったが、綾之助は世心がつくにしたがって、この人にこそと思いそめたのであった。綾之助が十九の春は、彼女にとって忘れかねる、匂いこまやかな霞の夜であったろう。廿六の彼は、初めて彼女の志を入れ、終世を共にする誓を結んだのだが、成恋の二人の間には、惨しい失恋の人があって、その人の誠心が綾之助の幸福のために仲人となってくれたのだった。