Classici giapponesi con furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Leggi 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.172 caratteri · 277 schermate
」
と、自分の責のように、家のなかを見廻した。小説修業の女弟子などが出はいりするのが、美妙が軽薄才子のように罵られる種なのではないかと案じた。
「そんなことは、どうでもいいさ。この辺はね、金満家の住居や、別荘には――別荘って、妾宅だよ。」
とニヤリとして、
「閑静で、便利でもって来いの土地さ。景色は好いし、われわれふぜいのボロ家は、だんだんなくなるさ。」
だから、今日は書斎の整理をすこし手伝ってもらおうかといった。
「ここのお室、なつかしくって――」
錦子が湿っぽくなるのを、
「君がはじめて来てくれたのは、二十四年だったかね。そうそう、君をおくった帰途に、巡査に咎められたことがあったっけなあ。」
「あら、そんなことなんか、なかったわ。」
錦子は思い出にカッカする頬をおさえた。
「あるよ、山下町だったかでも査公に一ぺん咎められたし、たしかこの家の門前でも咎められたよ。咄さなかったかねえ、自分の家へ、盗人にはいる奴もないじゃないか。」
フッと、莨の煙を、錦子に吹きかけたが
「ハア? 違ったかな。すると、あれは静嬢だったかな。そうだ、思い出した、前の日に伯母さんにぶたれたと言ったっけ。