Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

Leggi 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.172 caratteri · 277 schermate

Aozora Bunko

華やかな嵐を捲起したこの新夫婦、稲舟美妙の結合は、合作小説「峰の残月」をお土産にして喝采された。

しかしまた、別種の暴風雨が、早くも家のなかに孕みだしていたのだ。

世間的に美妙が蟄伏していた時には、心ならずも彼女たちも矛を伏せていた、おかあさんとおばあさんは、美妙の復活を見ると、あの輝かしかった天才息子を、大切な孫を、嫁女が奪ってしまって、しかも、肩をならべて文学者面をするのが気にいらない。

「僕を可愛がっているんだから――」

と、美妙はとりなすが、美妙が大祖と称するところの、八十五歳の養祖母おます婆さんは、木乃伊のごとき体から三途の川の脱衣婆さんのような眼を光らせて、姑およしお婆さんの頭越しに錦子を睨めつけた。

美妙の父吉雄が、およしの妹とずっと同棲していて、帰らないというのも、この大祖お婆さんがいるからだということを、錦子は嫌というほど悟らせられた。

だが、そうした女傑が、二人も鎮座することは、錦子も承知の上だった。その覚悟はしていたのだが、耐えられないのは、日本橋に出ている芸妓に、美妙の子供が出来かけている――ということだ。狭い家庭内で、三人の女に泥渦を捏ねかえさせないではおかなかったのだ。