Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Leggi 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.172 caratteri · 277 schermate
と、いうよりも、いま、お雪の全体が、マリア観音の像のように見えたのだった。キリシタン宗門禁制、極圧期に、信者たちは秘に慈母観音の姿ににせて造ったマリアの像に、おらっしょしたのだという、その尊像を思いうかべるほど、今日のお雪は気高く、もの優しいのだった。
おお、あそこの岩窟のなかに据えたならば、等身の、マリア観音そのままだと、モルガンがお雪を愛撫する心は、尊敬をすらともなって来た。
「お雪さんを、わしは終世大事にします。」
模糊として暮れゆく、海にむかって聳ゆる山の、中腹に眼をやりながら、モルガンは心に祈るようにすら言った。
お雪は、そういってくれる夫の、眼の碧さから、眼も離さないで、
「あたしこそ、あんなに騒がれて来ましたのですもの、あなたに捨てられても、おめおめと日本へ帰られはしません。」
お雪の背中に手を廻して、モルガンはひしと抱きよせた。口にこそ出せないが、感謝と慚愧とをこめた抱擁だった。
――お互に、痛手はあるが、もう決して今日からそれをいわないことにしよう――
男の心にも、女にも、そんな気持ちが、ひしひしとして、二人の魂を引きしめさせた。