Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

Leggi 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.172 caratteri · 277 schermate

Aozora Bunko

お金持ちは我儘だから、そうなると、あっちの茶屋へいっているといえば、なんでも貰って来いというのが、古来、廓の女に関しては、ことさらに定法のようなお客心理だ。

それが、京都の客ばかりでなく、大阪からも来る、東京のよんどころない方だからちょいと来ておくれというふうにもなって、三、四日前から口をかけておかなければ、お雪に座敷へ出てもらえないというようになっていた。

お金をかけてさえそうだから、無代となると、これはまた大変、町を――何かの催しがあって、百人ばかりの芸者が歩いたときは、その中にお雪がいるといったものがあったので、どれだどれだという騒ぎになり、あれか、これかと、顔を覗かれて、

「あの時は、えらい目に逢いましたわ。」

と、今日残存の老妓はいっている。

結婚式の着附は――

「婿さんが洋服なら、あんたも洋服にしなされ。」

「そんなおかしなこと出来ますか。」

というので、もう十二月で新規注文はどうかという押詰まってから、急に二軒の呉服屋さんが招かれ、モルガンも日本服、紋附きの羽織ということになり、

「紋は何にしましょう。」

お雪さんは平安の都の娘だからも一つ古くいって、平城京の奈良という訳でもあるまいが、丸に鹿の紋を染めることにした。