Classici giapponesi con furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Leggi 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.172 caratteri · 277 schermate
鴨川の水は、来春の晴着を、種々と、いろいろの人のを染めるなかに、この新郎新婦の結婚着も染められたのだ。年の瀬と共に川の水はそんなことも流してもいたのだ。
三十七年一月、横浜の米国領事館で、めでたく、お雪はモルガン夫人となり、アメリカの人となった。
新聞は、華燭の典を挙げたと報じ、米国トラスト大王の倅モルガン氏は、その恋花嫁のお雪夫人をつれて、昨日の午前九時五十二分新橋着の列車で横浜から上京したと書いているが、横浜のグランドホテルから東京の帝国ホテルへ移った時のことだ。
――花婿は黒山高帽子に毛皮の襟の付きたる外套を着して、喜色満面に溢れていたるに引きかえ、花嫁はそれと正反対、紺色の吾妻コートに白の肩掛、髪も結ばず束のままの、鬢のほつれ毛青褪めた頬を撫で、梨花一枝雨を帯びたる風情にて、汽車を出でて、婿君に手を引かれて歩く足さえ捗どらず、雪駄ばかりはチャラチャラと勇ましけれど、顔のみは浮き立たぬ体に見えたり。
と書いている。一等待合室に入って、お供の男女がチヤホヤしても、始終俯向きがちなので婿どのが頻りに気を揉んでいたが、帝国ホテルから迎いの馬車がくると新夫婦は同乗して去ったと、胡北へ送らるる王昭君のようだとまで形容してあるが、これは幾分誇張かもしれない。