Classici giapponesi con furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Leggi 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.172 caratteri · 277 schermate
三
競馬季節になった紐育社交界では、晩餐の集まりでも、劇場ででも、持馬をもったものはいうに及ばず、およそ話題は、その日の勝馬のことで持ちきっていた。
丁度、そうした時節に、夫の国に行きあわせたお雪は、ある日、競馬見物に連れていってもらった。
と、モルガンを見つけた若紳士たちは、すぐに彼を取りまいて、肩を叩いたり笑ったりして、お雪には、慇懃に握手を求めた。
お雪は、その人たちから、米国の婦人と同様に、丁寧にはされはしたが、好奇心をもった眼が集まってくるのが面伏せでもあり、言葉がよく分らないから、何をいわれているのかモルガンの顔の色で悟るよりほかなかった。
郊外の、みどりを吹く野の風はお雪を楽しませはしたが、競馬に気の立っている、軽快すぎる男女の饒舌は、お雪をすぐに、気くたびれさせてしまった。
モルガンは友達と打解けて話しあっていたが、
「帰ろうか。」
と、じきに競馬場から出てくれた。
此処へ来ても、お雪は、眼、眼、眼と、痛い視線を感じていたので、家庭へかえるとホッとして、
「お友達と、何の話してらしったの。」
と、きいた。モルガンは、あんまり気乗りのしないふうで、