Classici giapponesi con furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Leggi 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.172 caratteri · 277 schermate
容姿も才智も世にすぐれてめでたき人、面影は誰にも美しい思出を残している女史は、数えれば六年前、明治四十三年に三十六歳を年の終りにして、霜月九日の夕暮に大磯の別荘にて病のためにみまかられてしまいました。
女史には老たる両親がおありでした。三人の女のお子と、その折に二歳になる男のお子とをお残しでした。今は、二人の女のお子は母君のあとを慕って、次々に世をさられました。
女史の遺著は小説、歌文、詩、脚本など沢山にあるなかに、『晴小袖』は短篇小説をあつめ、『露』は『万朝報』に連載したのが単行本になりました。『朝日新聞』にて『空だき』をお書きなすってから、作風も筆つきも殊更に調ってきて、『空だき』の続稿の出るのがまたれました。が、それは女史の胸に描かれただけで、『空だき』が私の読んだものではお別れになってしまいました。
晩年に女史が私淑なさったのは、夏目漱石先生であったということを後に聞きました。その夏目先生が楠緒さんをお思出しになったことが最近先生のおかきになった『硝子戸の中』の一節にありました。無断でそのことを此処へ抜くのは悪いと思いながら、楠緒女史が生て見えますので、ほんの影だけでもうつさせて頂きたいと、私は大胆にもその事まで此処へ取りいれました。