Classici giapponesi con furigana
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しんさいゆうき
新西遊記
久生 十蘭
Leggi 新西遊記 (しんさいゆうき) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.654 caratteri · 52 schermate
それが一間きりの狭いところで暮しているので、どちらの側でも姦通は遠慮なく公然と行なわれる。こういう風習の中では姦通は意義をなさない。つまりは、なにも教えられたことのない子供のように、天然自然の生活をしているので、慎しみとか行儀とかいう観念は、かつて生活の仕組みに入ったためしがないのである。
カンプゥタンには肉をとって食うほど羊の数がないので、ツァムバ(炒麦)やバタ茶の凝結乳を常食にしていた。火にかけた鉄鉢の磚茶が煮えると、その黒汁を椀に盛り、山羊の臭いバタの厚切れを入れて炒麦を振りこむ。肉が手に入るまでこれで何日かの凌ぎをつける。それはいいが、男も女も服を着換えるのは年に一度、身体の垢は生涯身につけて手は洗うということをしない。大便をしても洟をかんでもそのままだから、身体は垢と脂で煤色になり、服はバタで汚れてピカピカ光っている。食事がすむと椀は舌で舐めておく。客でもあると、垢光りのする長い袖でグイと椀の縁を拭いて茶を注いですすめる。西蔵人ほどの不潔な人種がほかにあろうとも思えないが、なにごとも本願をとげるためと、つとめて汚穢の修行をしているうちに、四カ月ばかりで顔も身体も乾漆仏のようになり、一廉のチャンタン(高原人)らしい見かけになった。