Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゃくしょこくばなし

新釈諸国噺

太宰 治

Leggi 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.562 caratteri · 179 schermate

Aozora Bunko

つもりでいたの。いまあの火葬の煙を見たら、もう何もかもいやになって、あたしはもう生きて行く気がしなくなった。」と意外の事を口走るので、姉は仰天して、

「何を言うの? ゆるすもゆるさぬも、それはあたしの事ですよ。あたしこそ、お前を突き殺して絹を奪おうと思って、あの煙を見たら悲しくなって、あたしの反物を谷底へ投げ込んだのじゃないの。」と言って、さらに妹を固く抱きしめてこれも泣き出す。

かつは驚き、かつは恥じ、永からぬ世に生れ殊に女の身としてかかる悪逆の暮し、後世のほども恐ろし、こんにちこれぎり浮世の望みを捨てん、と二人は腰の刀も熊の毛皮も谷底の火焔に投じて、泣き泣き山寨に帰り、留守番の母に逐一事情を語り、母にもお覚悟のほどを迫れば、母も二十年の悪夢から醒め、はじめて母のいやしからぬ血筋を二人に打ち明け、わが身の現在のあさましさを歎き、まっさきに黒髪を切り、二人の娘もおくれじと剃髪して三人比丘尼、汚濁の古巣を焼き払い、笹谷峠のふもとの寺に行き老僧に向って懺悔しその衣の裾にすがってあけくれ念仏を称え、これまであやめた旅人の菩提を弔ったとは頗る殊勝に似たれども、父子二代の積悪はたして如来の許し給うや否や。