Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゃくしょこくばなし

新釈諸国噺

太宰 治

Leggi 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.562 caratteri · 179 schermate

Aozora Bunko

見苦しい事の無いように、これからすぐに家の内外を綺麗に掃除いたしましょう。」と鞠は素早く襷をかけた。

その時、重役の野田武蔵がお供も連れず、平服で忍ぶようにやって来て、

「金内殿は、出かけられましたか。」と八重に小声で尋ねた。

「はい。お金をたくさん持って出かけました。」

武蔵は苦笑して、

「永い旅になるかも知れぬ。留守中、お困りの事があったら、少しも遠慮なくこの武蔵のところへ相談にいらっしゃい。これは、当座のお小遣い。」と言って、かなりの金子を置いて立ち去る。

これはいよいよ父の身の上に何か起ったと合点して、八重も武士の娘、その夜から懐剣を固く抱いて帯もとかずに丸くなって寝る。

一方、人魚をさがしに旅立った中堂金内、鮭川の入海のほとりにたどり着き、村の漁師をことごとく集めて、所持の金子を残らず与え、役目を以てそちたちに申しつけるのではない、中堂金内一身上の大事、内々の折入っての頼みだ、と物堅く公私の別をあきらかにして、それから少し口ごもり、頬を赤らめ、ほろ苦く笑って、そちたちは或いは信じないかも知れないが、と気弱く前置きして、過ぎし日の人魚の一件を物語り、金内がいのちに代えての頼みだ、あの人魚の死骸を是非ともこの入海の底から捜し出し、或る男に見せてやらなければこの金内の武士の一分が立たぬのだ、この寒空に気の毒