Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゃくしょこくばなし

新釈諸国噺

太宰 治

Leggi 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.562 caratteri · 179 schermate

Aozora Bunko

すなわち、川の中で小便をしている牛を見て青砥は怒り、

「さてさて、たわけた牛ではある。川に小便をするとは、もったいない。むだである。畑にしたなら、よい肥料になるものを。」と地団駄踏んで叫喚したという。

真面目な人なのである。銭十一文を川に落して竜宮までもと力むのも、無理のない事である。残りの二十六文を火打袋におさめて袋の口の紐を固く結び、立ち上って、里人をまねき、懐中より別の財布を取出し、三両出しかけて一両ひっこめ、少し考えて、うむと首肯き、またその一両を出して、やっぱり三両を里人に手渡し、この金で、早く人足十人ばかりをかり集めて来るように言いつけ、自分は河原に馬をつなぎ、悠然と威儀をとりつくろって大きな岩に腰をおろした。すでに薄暮である。明日にのばしたらどういうものか。けれども、それは出来ない事だ。捜査を明日にのばしたならば、今夜のうちにもあの十一文は川の水に押し流され、所在不分明となって国土の重宝を永遠に失うというおそろしい結果になるやも知れぬ。銭十一文のちりぢりにならぬうち、一刻も早く拾い集めなければならぬ。夜を徹したってかまわぬ。暗い河原にひとり坐って、青砥は身じろぎもしなかった。