Classici giapponesi con furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate
殊に総選挙の結果、社会党の大勢が明瞭に勝ち始めてからは一層それが激しくなるのだった。
こんな日のよく晴れたある午後また千鶴子と矢代は公園で会った。
靴先のひどく立派に光った老夫婦がゆるやかに足を揃えて歩いて来る。その木の間のどこからか、弾んだゴム毬のだんだん力を失う音がした。
二人は無言のまま青芝の上に散っている鳩の羽毛を眺めているとき、急に千鶴子は思い出し笑いをして口に手をあてた。
「先日塩野さんが、ノートル・ダムの写真を撮りにいらしったんですのよ。あの方、お写真の方が専門だから、いろいろな角度からお撮りになっているうちに、とうとう鳩の糞のいっぱいある地面へ仰向きに寝転がって、上へカメラを向けたの。そしたら、傍で見ていたアメリカの観光客の一人が、自分もその通りに仰向きに寝て撮ってみてるの。」
矢代もおかしくなってつい笑いながら云った。
「塩野という人は、なかなか気持ちのいい方ですね。まだ長くこちらにいらっしゃるんですか。」
「何んですか、もうすぐ帰るようなこと仰言ってたわ、ノートル・ダムを撮ったのを全部集めて本にしたら、もうそれでいいんですって。」
もう日本へ帰るのだという人のことを聞く度びに、矢代は羨ましい気持が失せなかった。