Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate
「これは何んと日本語で読みますか。」
と訊ねた。それは李の書いたものと見え、唐朝人、雀、と作者の最後の名が分らぬらしい風で、画家の好きそうな美しい詩が書きつけてあった。
去年今日此門中
人面桃花相映紅
人面不知何所処
桃花依旧笑春風
唐詩を日本読みに返って読んでいる矢代の傍から、久慈も何気なく窺いてみると、人の臭いのもう無くなってしまった門の中で、桃の花だけにたりと笑っている虚無的な風景が泛んで来た。日華の戦争が始まったという最中に、李はこんなことを考えていたのだろうかと、久慈は今自分の考えていたこととの遠さを思いくらべてみるのだった。
「中国人というのはこのパリを見ていても、みな人間の死んでしまった跡の空虚ばかりが眼につくんだね。また後へどこの馬の骨かしら這入って来るだろうぐらいに思ってるんじゃないか。」
ドイツの青年が李の傍へ戻った後で久慈は矢代に云った。
「そうも思わないだろう。そんなことを思っては楽しんでいるだけだよ。人間が空虚になってるところばかり美しく見えるのなら、ここから日本を想像してみなさい。人が一人もいないように見えるじゃないか。実際僕に不思議でならぬのは、ここから日本のことを思うと、いつでも人が日本に一人もいなくて、はっきり、伊勢神宮だけが見えてくることだね。