Classici giapponesi con furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate
しかし、中田の呟きには美しい感覚の愁いが籠っていた。破滅させるより続かせる方が良いと万人の希う限りは、念い希う根柢の民族の心を知るより法はない。矢代は久慈と続けて来た論争の焦点がいつもそこだったと思い、今日こそ久慈に誤りを徹底的に感じさせ、一応は日本人の立場に引き戻さねばならぬと決心したが、頭に泛んで来た久慈の顔には、まだ頑な勝気だけが眼に見えて来るのだった。
「ああ、あれには敵わん。あ奴は幽霊に憑かれてる。」
彼は思わずこう胸中で呟きながらも、やはり久慈の出て来るのを誰よりも待つのだった。彼には久慈の勝気が知性というような合理性には見えず、ただ単に勝気という日本人の肉感な癖により見えぬのである。
「失礼なことお訊きするようですが、あなたはこんな今日のようなここの問題、どんな風に考えてらっしゃいますか。青年の問題としてですね。」
と突然、中田は矢代に向って興味あるらしい微笑で訊ねた。
「僕はどうも、公式主義というのは嫌いでしてね。そういうせいか、ここの問題はどうにもぴったり僕の感覚に訴えて来ないんですよ。」
「じゃ、論理的にもですか。」
「そうです。」
と矢代は答えた。