Classici giapponesi con furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate
またその光秀が自分の娘と忠興が結婚してから二三年目に、娘の仲人であり、自分を成長せしめた主の信長を殺したという悲劇には、必ず人人には計り知られぬ光秀の苦痛が潜んでいるにちがいないと思った。その苦痛の分らぬ限りは歴史を動かす精力というものも、容易に解せられぬ何ものかであろうと彼には思われるのだった。――このような感想ならずとも、今の矢代にとって、日本の歴史の中でもっとも興味を感じる部分は、自然とこの彼の先祖の滅んだ戦国時代であり、またその時代を代表する信長、光秀、秀吉の三人物の好奇心の動きであった。そしてこれら三人物がそれぞれ一番興味を感じもし、また悩まされたのは、揃いも揃ってカソリックという西洋を形造った異元素だったということが。――それもカソリックに興奮した三傑の原因は、それが運んで来た大砲という暴力の親の火薬が元であってみれば、その火薬を生んだ親たる自然科学に対するとき、矢代も、今もなお信長や秀吉のようにそれに驚異を感じている自分だと思った。しかもその科学と千年ももつれ争い、はては結婚さえしてしまったかのように見えるカソリックという精神の原動力をなす異国の神の――千鶴子や細川ガラシヤの信じたエホバとその子キリストの精神に関しても、彼は知らぬままには素通りして過ぎることが出来ないのであった。