Classici giapponesi con furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate
誠実質朴という点では、他のどこの国にも負けない頑固なものがあるよ。その代りに、一度悪事をすれば、後はどんなに良いことを山ほどしても、もう受けつけない。そこは君の郷里の九州地方とは違うんだよ。九州は、あそこは妙なところだ、いくら悪事をなそうとも過去を問わぬ。悪く云えば刹那主義だが、良く云えば濶達明朗というのかね。それだから大西郷なんて人が出たのだよ。僕は建築の仕事をしていてこう思うんだが、どうかね。君は外国へ行って来たから分るだろうが。」
と貞吉は少し前へ乗り出す風に椅子から動くと、まだ青年の活溌さで、さも楽しげにひとり続けた。
「日本に外国からの良い文明が落ち込んで来て、今のような日本が出来上ったというのは、島国だという所もあろうが、一つは君、日本人の誠実さを知った外国人の豪い人物たちが、何んとかしてこの国のために自分を役立てようと思ったからじゃないかと、僕は思うんだ。悪い人間に誰も自分の知識やいのちを与えてやろうとは思うもんじゃないからね。」
「それは僕もそう思います。」と矢代は云った。そして、そこに気附いた叔父の眼を高く思うより今まで自分を眼中にしなかった叔父の態度が、こんなに変って来たのは珍らしい近ごろのことだと思った。