Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ひめくり
日めくり
壺井 栄
Leggi 日めくり (ひめくり) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.884 caratteri · 34 schermate
「あんまりせきせき見舞っても、それが気になるとすると、遠慮した方がいいのかしら」
「どうかね」
「万一の時にあとへ思いが残っても、辛いしね」
「そうなんだ」
「ひろみだって、心細いでしょう」
こんなところへひろみから、容体をしらせる電話でもあると、それを待ちかねていたように老夫婦は出支度をする。別に化粧をするでもない元子は、帯をしめ直すぐらいですぐにも出かけられるが、文吉の方はいつでもそうはいかない。一とき、せかせかと部屋を出たり入ったり、頭をかしげたり、ぶつぶつと口の中でつぶやいたり、そのあげく、
「めがね、知らないかね」
「しってる、めがねぐらい」
「どこだ」
「それはしらない」
そんな冗談でも云わないと腹が立つほど、文吉はめがねの置場がひろい。
「めがねはずすときに、置場決めておかないからよ。茶の間ならテレビの上とか、書斎なら机の上でなく、抽出しの中とか、洗面所なら鏡の前じゃなく、いっそのことお風呂のふたの上だとか。そしたらさわぐことないのよ」
そういう元子がこのごろでは文吉に劣らぬ忘れやになっている。どうしても見つからないので新しいのを作ったら、庭のつつじのしげみの上にちょんとのっかっていたりする。