Classici giapponesi con furigana
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にちにちへいあん
日日平安
山本 周五郎
Leggi 日日平安 (にちにちへいあん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.297 caratteri · 56 schermate
「とにかく戻ってからのことだ」と十郎太はつぶやいた、「――いやなら紙入だけ取って江戸へ帰ればいい、戻ってみたうえで肚をきめよう」
菅田平野はいい心持そうに眠っていた。
明くる日の十時ころ、二人は城下町へ向って宿を立った。十郎太は江戸へ追放されたのも同様だから、夜にならなければ町へははいれない、藍川の宿から城下までは五里足らずで、早く宿を立つわけにゆかなかったのである。心配した勘定のほうは払えたけれども、あとにはわずかしか残らなかった。それで握飯をつくってもらい、宿を出るとすぐ裏道へ曲った。街道をいって、もし家中の者にでも会っては悪いからである。丘を越えたり畑の間をぬけたり、途中の山蔭の泉のわくところで握飯を喰べたりしながら、石鉢山まで来たが、まだ時間が余った。そこは山といっても高さ百五十尺ばかりで、城の東北に当り、城下町がすぐ前に眺められる。二人はそこで日の暮れるのを待ったうえ、夜の八時ころに町へおりていった。
石鉢山のほうからはいると、武家屋敷の裏にゆき当る。陸田家は大手筋の塔ヶ辻という処にあり、その構えは三十間に四十間ばかりの広大なものであった。