Classici giapponesi con furigana
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ぎじんのすがた
日本の怪談
田中 貢太郎
Leggi 日本の怪談 (ぎじんのすがた) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.030 caratteri · 115 schermate
久武内蔵助の従弟に当る五月新三郎は、ある晩、小高坂へ往って親実の邸宅の傍を通っていた。薄月のさした暖かな晩であった。ふと見ると、十六七に見える色の白い女が一人立っていた。人通りのない淋しい路ぶちに、歳のゆかない女の子が立っているのは不思議であるから、
(もしや、妖怪ではないか)
新三郎は注意したが、別に怪しいそぶりもなかった。ただしょんぼりと立っている容(さま)が、如何にも何か思案に余ることがあって、非常に困っているようであるから傍へ往って声をかけた。
「この夜更けに、壮(わか)い女子(おなご)の方が、一人で何をなされておられる」
見ると立派な服装(なり)をしていた。女は恐ろしそうに新三郎の顔を見たままで何も云わなかった。
「私は五月新三郎と申す者で、決して怪しい者ではない」
「私は秦泉寺(じんせんじ)の者でございますが、去年国沢へ縁附きましたところが、夫には他に女子(おなご)が出来て捨てられましたから、淵川へなりと身を投げて死のうと思いましたが、秦泉寺には一人の母がございまして、私に万一(もしも)のことでもありますと、母がどんなに嘆くであろうと思いますと、死にもならず、兎に角秦泉寺へ参りまして、母に一目逢うたうえでと思いまして、夕方に国沢を抜け出しましたが、追手が恐ろしゅうございますから、廻り道をして往こう