Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぎじんのすがた

日本の怪談

田中 貢太郎

Leggi 日本の怪談 (ぎじんのすがた) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.030 caratteri · 115 schermate

Aozora Bunko

お滝は不思議に思って眼を彼方此方にやって見た。

「おかしいな」

障子も襖も開いた音がしないのにいなくなると云うはずはない。お滝は鬼魅が悪くなって来た。

「姨さん、姨さん、……姨さん」

お滝は仲働の老婆に起きてもらおうと思った。お滝はそうして引返して行灯を持って来て、ちょっとあたりを見た後に其処の襖を開けた。其処は茶の間であった。お滝は其処に男の姿が見えはしないかと思って、行灯の灯口を向けながらまた老婆を呼んだ。

「姨さん、姨さん」

茶の間の次の庖厨の室から睡そうな声が聞えた。

「姨さん、気の毒だが、ちょと起きてくださいよ」

がたがたと音をさして茶の間と庖厨の境の障子を開けて小肥満のした老婆が顔を出した。

「何か御用でございますか」

「へんなことがあったからね」

老婆はお滝の傍へ来た。

「どんなことでございます」

「どんなって、寝てて、なんだかへんだから、起きてみると、人が寝ているじゃないかね、突き出そうとすると、跳び起きて往っちゃったが、何処も開けたようでないのに、いなくなったよ」

「そりゃ、このあたりの野良でございますよ、旦那がお留守になったものだから……、巫山戯た奴ですよ、何処かそのあたりに隠れておりますよ、酷い目に逢わしてやりましょう、癖になりますからね」